終末期の利用者への訪問で出会った「まさか」のできごと

これは、終末期のご利用者さんの訪問でのできごと。

このご利用者さん、退院時点では、歩行はおろか、座位も難しい状況…。
なんとか車いすに全介助から中等度の介助で移乗できる程度で、日中のほとんどをベッド上で過ごされている状態。
看護師の声掛けにもほとんど反応をされず、状態は悪化している一方に見えました。
そんな状態でも、ご本人はずっと「家に帰りたい」と言われていました。

ご家族は介護をした経験はありません。
増して、この時点でのご退院はご自宅での看取りとなる可能性も大いにある状況。
それでも、「本人がそう言うのなら…」と、不安を抱えながらも退院をご決断。

ご自宅でのお看取りも念頭に入れた健康管理と、食事摂取もままならず脱水もあったため、ご自宅で点滴をすることを目的に、クリケアへご依頼をいただき、訪問開始となりました。

無理に点滴する必要しなくても…

初回の訪問、
いざ点滴をさせてもらおうとご本人へお声がけさせていただくと、どうにも冴えない表情…。
まずは、ご本人のお気持ちをお伺いすると、「点滴はずっとつながれている気がしてかなん…」と、ポツリ…。
せっかくご自宅に帰ってこれたのに、「これでは病院と同じ…」と感じていらっしゃったのかもしれません。

すぐに往診の医師へご相談すると、
「嫌がる点滴を無理にしなくても良いでしょう。食べられるものを食べられるだけ、経口摂取が全くできていないわけではないですから」と、点滴は無しで毎日の体調確認とご家族の介護援助の訪問に変更になりました。

それから、何度か訪問をさせていただくなかで、
近くの風景の写真をお見せしたり、ご自身がずっと世話をされていた畑の写真をお見せしたり、ご本人の「日常」に触れられるように関わらせていただきました。

「まさか」のできごと

ご本人の望みは何か?
それをできる限り叶えることはできないだろうか?

そういった思いでスタッフで話し合い、
ご本人、ご家族の希望の希望に合わせベッドサイドでのリハビリを開始しました。
ご本人もとても意欲的で、リハビリ開始早々にベッド柵を持ち立位になることもできました。
(入院中は座位も無理だった方が…)

そんな関わりをさせていただいていたある日の訪問日、それは起こりました。

お宅へ訪問すると、いつも寝ているベッド上に姿がありません…!!!
え…???確かに立位はできたけど、ご自分で歩くことなんて難しいはず…。
まして、ご家族が外にお連れすることもできるはずが…。

想像もしていなかった光景に、ぷちパニックで焦っていると、奥の方から「こっちにいますよ〜」とご家族の声が…。

なんと、ご家族と一緒にこたつに入ってお茶を飲みながらTVを見ていらっしゃったのです‼️

その光景は、なんとも穏やかで、ご家族もごく自然体で、「家で看ることなんてできるんでしょうか…」と毎日不安そうな表情でご相談を受けていたとは思えないくらい…。
そこには、ほっこりした空気が流れていました。

「気づいたら、ここに居てたんですよ〜。入院前はいつもここで過ごしててね」とご家族も、ただただ自然に過ごされていました。
歩行はおろか、座位もむずかしい状況で、這ってでもこたつに行きたかったのでしょうね。

ご自身でベッドへ戻るのは難しかったので、「戻してもらわないかんね」とご家族からも言われたのですが、せっかく訪れた家族団らんの時間。
少しでも、この時間を味わっていただこうと、再訪予定の午後の訪問まで、こたつで過ごしていただくことにしました。

ご家族は「戻らなくて良いんですか…?」と心配そうにされていましたが、
ご本人はこの時間を求めて、退院を決意されたのですから。

こたつでは、急変があったときの対応は難しいもの。
看護師が付き添っているわけでもなく、介護に不安を抱えるご家族にお任せして、こたつで過ごしてもらうことが、適切な対応だったのかは分かりません。

ただ、
「なんとも穏やかな家族団欒の光景」と、
「ご本人の希望に沿いたい」というご家族とクリケアの思い。

これを考えると、ベターな判断ができたのではないかと振り返っています。

常にベストを尽くすのは難しいけれど、
これからも利用者ファーストで何ができるかを考え続けられる存在でいたいと思います。

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